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「月の女」-17~22

2008年3月26日 (水)

「月の女」-22

【エピローグ 東京で】

 十二月二十八日の朝成田空港に着いたボクは荷物をいったんアパートまで持って帰り、少し仮眠をとってから昼過ぎに会社に行った。

 会社にとってもその日が御用納めの日だった。

 米倉部長にタイでの出張の簡単な報告をするとき、ボクの心の中は複雑な気持ちだったが、何とか表面上はうまく取り繕う事が出来た。

 米倉部長は何も関係がないような顔をして

「ご苦労さん」 と一言言っただけだった。

〈畜生め!〉 とボクは心の中で叫んだが、その感情を表面に出すことだけは何とか抑えることが出来た。

 その夜、課単位での忘年会があったが、ボクは出張の疲れを理由に断り、アパートに帰って寝た。

 ボクは本当に疲れていた。

 三十日の新幹線でボクは東北地方にある県庁のある都市の実家に帰り、正月の三ヶ日を両親と供に過ごし、又東京に帰ってきた。

 アパートに帰ってパソコンを開くと河島からメールが入っていた。そこには懐かしいタイの匂いがあった。

 河島は年末からノイに誘われて、ノイの田舎のロイエットに行ったと書かれていた。

 すごい田舎で、人々はかなり貧しい生活をしているみたいだが、その割には明るくて人懐っこくて大変な歓迎を受けたと書かれてあった。

 そしてその田舎でドゥアンとその娘に会ったとも記されていた。

 ドゥアンは娘に会えて元気そうだったが、お前と会えない寂しさを俺に切々と訴えていたと書かれていた。

 ボクはそれを読み、今すぐにでもバンコクに行きたい強い誘惑に駆られた。

 それでいながら一方で、ボクはその日から知り合いをあちこちあたって弘美の行き先を探し始めていた。

 しかし誰もそれは知らないようだった。田舎に帰ったかもしれないとボクは思った。

 ボクは弘美が残していった田舎からの手紙とかが何処かにないか部屋中を探してみたが、彼女のものは何一つ残っていなかった。

 改めて彼女のことを考えてみると、彼女はこの広い東京で心の許せる友達らしい友達もいなかったし、親戚もいなかったようだ。

 本当に身ひとつで東京に出てきたのだと言うことがわかり、余計不憫に思われた。

 そして彼女がどれほどボクのことを頼りにしてくれていたか、ボクと別れる決心をした時どれほど悩んだかもなんとなく推測できた。

 恐らくあの時弘美は心のどこかにぽっかりと隙間が出来ていたのだろう。

 仕事が忙しくてボクがあの頃弘美の相手をあまりしてやれなかったのも原因だったのかもしれない。

 この東京と言う街はこんなにいっぱい人がいるくせに、ボクら地方から出てきた人間にとっては、魅力的な街であると同時に、非常に孤独な街でもある。

 人ごみに行けば行くほどボクはそれを余計に感じる時もある。

 又この街はいろんな情報が飛び交う街でもある。

 自分が余程しっかりしていないとその激流に流されてしまいそうな街なのだ。

 そう言う街の中で、弘美はあの時何かをきっかけにして、ちょっとした心の隙間ができたのかもしれない。

 その心の隙間から彼女はたった一度過ちを犯してしまったのだ。

 しかし弘美はそのことにより苦しめられた。そして考えに考えた末、ボクと別れる決心をしたのだ。

 恐らくボクと一緒に暮らしている限りあの過ちを忘れる事が出来ないと思ったのだろう。

 その苦しみから逃れる為に、弘美は自ら決心をしてその道を選んだのだ。だからボクから離れていったのだ。

 ボクはその決心を思うと、中途半端に彼女を探すことはやはり止めたほうがいいのではないかと判断した。

 東京はボクには寒かった。

 夏からいきなり冬になった寒さに、弘美もドゥアンもいない寂しさが加わり、より一層ボクの心を寒くした。

 それでもボクは会社に戻り仕事に打ち込んだ。誰よりも遅くまで仕事をした。出来るだけ二人のことを忘れようとするかのように・・・。

 しかしそれから誰も居ないマンションに帰り、独りになるとボクはどうしても二人のことを考えてしまった。特にドゥアンのことが忘れられなかった。

 仕事を終えて駅からマンションまで帰る途中、夜道をとぼとぼと歩きながらなにげなく夜空を見上げた時、ぼんやりとした空の中でぽっかりと浮かんでいる月を見て、ボクはドゥアンのことを思い出した。

 そしてドゥアンとともに眺めたサメット島の事も同時に思い出した。

 僕はその時、ドゥアンがボクに静かに語りかけてくれているように感じたし、またボクのことを遠くからしっかりと見つめてくれているような気もした。

 今ごろドゥアンはどうしているのだろう、とボクはそのたびにドゥアンのことを考えた。

 相変わらず誰かにコーラを強請っているのだろうか。そしてそれだけでは田舎にも送金ができないので、たまには誰かにペイバーされて、その男とホテルに行ったりしているのだろうか、と考えることは、ボクには身がきられるように絶え切れないほど辛いことだった。

 それから一ヶ月くらいたったときにまた河島からメールが来た。

  その後元気にしていますか。
  こちらは相変わらずバタバタとしています。

  君が帰ったあと暫くして、
  いったん決まったプランが又変更になり、
  その修正で今は大変です。

  君にもう一度バンコクに来てもらえないかと、
  これから部長に交渉しようと思っていますが
  その前に君の都合と気持ちを知りたいので、
  部長に交渉する前に先にメールしました。

  予算の都合もあり、
  依頼どおりの結果になるかどうかは保障できないけれど、
  君の返事次第で部長に依頼しようと思っています。

  出来れば明日中に返事ください。

  勿論ドゥアンも君の来タイを待っています。

 メールはそう言う内容だった。

 ボクはそのメールを読んで河島がボクをバンコクに呼び戻す為に、いろいろ工作しようとしてくれているのを感じた。

 そしてそのバックにはドゥアンの存在があることも強く感じた。

 ボクは一晩考えた末、是非バンコクに呼んでほしいという返事のメールを河島に送った。

 そして今度向こうに行った時には、今の仕事をこなしながらも、向こうで一生できるような仕事を探そうと強く思った。(完)

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2008年3月25日 (火)

「月の女」-21

【第二十章 別れの日】

 最後の朝が来た。

 朝七時過ぎに起きてドアをあけてみると、相変わらず空は雲ひとつない快晴だった。

 庭の大きく張り出した木の枝の間から、朝の陽の光がキラキラと芝生に降り注いでいる。爽やかな朝だ。

 ボクはテラスに出て、そこにある木の椅子に腰をおろして煙草に火をつけた。

 作日と同じように愛想のいい親父が、少し離れた庭の芝生にホースで水をやっているところだった。

 そのうちテラスに出てきたボクに気が付き、いつものワイの挨拶を送ってきた。

 煙草を一本吸い終わるとボクは又部屋に戻っていった。

 部屋に入ると奥のバスルームからドゥアンが使っているシャワーの音が聞こえてきた。ボクはテレビをつけ、ドゥアンのシャワーが終わるのを待った。

 ドゥアンが出てきたのと入れ替わりに今度はボクがシャワーをした。

 ボクがシャワーをして部屋に戻ると,ドゥアンは鏡の前で髪にドライヤーを当てているところだった。

 全ての帰り支度を終えたところで、ボクらは浜辺のほうに出て行き、昨日と同じ朝食をとった。

 朝食を済ませてから又部屋に戻り、暫くゴロッとした後、八時半出発の船で島を出た。

 今度は高速艇ではなく、普通の定期便だ。四十分くらいでラヨーンの港に着いた。

 船着場で暫く待っていると、一昨日約束したタクシーが約束通り迎えに来てくれたので、それに乗り込みバンコクに向かった。

 昼過ぎにバンコクに着いた。

 島から戻ってくるとバンコクの喧騒がいつも以上に鬱陶しく感じられた。

 ボクらはいったんボクのアパートまで戻り荷物を部屋に置いてから、外のレストランで軽く昼食をすませ、ドゥアンに約束した買い物に行く為にエンポリアムに向かった。

 ボクは何か思い出になるアクセサリーのようなものをドゥアンに買ってやりたいと思っていた。

 エンポリアムについた後、一階のアクセサリー売り場を覗きながら、ボクはドゥアンに何でもいいから好きなものを買ってあげると言った。ドゥアンは嬉しそうな表情で

「なんでもいいの?」 と聞いた。

「いいよ、ただし一万バーツまでだよ」 とボクが言うと

「エーッ!一万バーツ?」

 ドゥアンは一万バーツも予想していなかったらしく、かなり驚いた様子だった。

 そして暫く考えた末、ボクの手を引いて何処かに行こうとした。

 何処に行くのかと思いながら手を引かれるがままついていくと、ドゥアンはエンポリアムの外に出、さらに車の往来をうまくすり抜けて道を反対側に渡ってしまった。

 今度はボクが「エーッ?」 という番だった。

「何処に行くの?」 ボクはドゥアンに尋ねた。

 まあまあと言う感じで、ドゥアンはやってきたタクシーを捕まえボクを乗せ、そのあと自分も乗り込んだ。

「パイ・トンロー・カー(トンローまで行ってください)」

 運転手にそう言うと、ドゥアンはニコニコしながらボクの腕に自分の両手を回してぴったりとくっついてきた。

「トンロー?」 ボクは頭をひねりながらそう言った。

 すぐにタクシーは目指すトンローの交差点についた。

 ドゥアンはそこでボクを今度は引っ張るようにタクシーから下ろすと、交差点のある金ショップに入っていった。そこで初めてボクはドゥアンが考えていることを理解した。

 ボクはその時、タイの女はゴールドが好きだと言うことを誰かから聞いたのを思い出した。

 ゴールドならいざと言うときに、買った時と殆ど変わらない値段で売ることが出来るからだ。

 ドゥアンは最初ボクが何か買ってあげようと言ったとき、千バーツくらいのものを想像していたのかもしれないが、一万バーツと聞き、だったら金にしようと考えを変えたのだ。

 ゴールドならいざと言う時にはお金に変えることもできる。

 ゴールドを買うにはエンポリアムではなく、金ショップがあるトンローの方がいいとドゥアンは即座に判断したのだろう。

 ボクはタイ人の生活力の旺盛さを、ドゥアンにも同じように感じた。そしてさすがにしっかりしているな、とも思った。

 ドゥアンはそこで一万三百バーツのネックレスを気に入ったようだった。

 予算より少しオーバーするけれどこれでもいいですか?という感じでボクの目を見た。

 ボクはオーケーと言ってそれをカードで支払った。ドゥアンは大喜びだった。

 ドゥアンが喜ぶ姿を見てボクも当然ながら嬉しくなった。

 金ショップを出てボクらは又ボクのアパートに戻り、ドゥアンの荷物を渡したところで、ボクはドゥアンにここで別れようと言った。

 前からそう言っていたのでドゥアンもある程度覚悟はしていたらしく、しかし力なく頷いた。

 ドゥアンは暫くうつむいた後ようやく顔をあげてボクの眼をじっと見た。

 その目は涙であふれそうになっていた。

 それを見てボクもグッと込みあげて来るものが胸の中にあったが、かろうじてそれをこらえドゥアンをしっかりと抱きしめた。

 そしてその後入り口のドアまで送って行き、そこでボクらは別れた。

 ドゥアンと別れた後、ボクは誰もいない部屋の中で独りベッドに仰向けになって寝た。

 そして両手を頭の後ろで組み、天井の白いボードを何となく眺めながら、ボクはもう自分には何もないと言う喪失感と寂寞感で打ちひしがれていた。

 そしてみぞおちあたりに、あの四角いせつなさの塊のようなものがつっかかっているのをなんとなく感じていた。(つづく)

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2008年3月24日 (月)

「月の女」-20

【第十九章 最後の夜】

 いよいよドゥアンと一緒に過ごせる最後の夜がきた。

 ボクらは昨夜と同じ浜辺にあるシーフードの店に行き、昨夜と同じテーブルで最後の夕食をとった。

 ボクはビールを飲みドゥアンはバカルディを飲んだ。昨夜は海老を食べたので今日は魚を中心に注文した。

 昨夜食べたムール貝がドゥアンはおいしかったらしく今日もまたそれを注文した。

 昨夜と全く同じように空には満天の星と満月の月、海からは波の打ち寄せる音と涼しくさわやかな風。

 テーブル席の両サイドにはかがり火がたかれている。そしてボクの横にはドゥアンがいる。全てが何も変わらない繰り返しだ。

 時間がゆっくり流れているのが感じられる・・・。

 ボクは少し酔った頭で、横にいるドゥアンについて考えていた。

 〈ボクがいまドゥアンに対して感じている感情は愛なのだろうか?それとも憐憫を愛と勘違いしているのではないだろうか?〉と。

 この感情が愛といえるものなのかどうかボクにはまだ判らない。でも彼女を愛しいと感じているのは確かだ。

 彼女はボクなしでも生きていくことは可能かも知れないが、ボクは彼女を守ってあげたいという感情がこの胸の中にいっぱい満ち溢れている。

 ボクはこうしてドゥアンと一緒にいるだけでこんなにも充実してしまっている。

 何も話さなくても、何もしなくてもずっと一緒にいることが出来る。これはもしかしたら愛というものではないだろうか・・・。

 でもだからといってボクらはこのままずっと一緒に暮らすことは出来るだろうか。

 これまで生きてきた環境は御互いに全然違う。宗教も違えば考え方も違う。言葉も満足に通じない。

 だからボクはどれほど彼女の事を理解しているといえるだろうか。ボクのこの少ない語彙でこれから何処までコミュニケーションが取れるのか、それこそ全然自信がなかった。

 そんなことでこれからの長い人生を一緒に暮らしていくことなんか出来るのだろうか。

 それにこれはすごく現実的な話だが、この国では日本人の男がタイ人の女と結婚すると、家族は勿論親戚までふくめた一族郎党皆の面倒まで見なくてはいけなくなるとは、よく聞く話だ。

 ボクにはそこまでの覚悟が出来ているだろうか?とそこまで考えたところで  

「ユタカには何かオバケが見えるの?」

 横でドゥアンが心配そうな顔をしてボクの顔を覗き込みそう聞いてきた。

「えっ、どういうこと?」

「さっきからじっと海を見ているから」

 その言葉でやっとドゥアンが言おうとしている意味をボクは理解した。

 タイ人は何か考え事をしていると、「オバケを見ている」という表現の仕方をする、というのを以前に誰かから聞いた事があるのをボクはその時思い出したのだ。

「何でもない。この貝おいしいね」

  ボクはそう言って適当に話を誤魔化した。

「そう?ユタカはこの貝が好きみたいね。今度タイにきたら私が料理してあげる」

「ありがとう。楽しみにしているよ」

「今度はタイに何時来る?」

「わからない。でもすぐ来ると思うよ。ドゥアンに逢いたいから」

「本当?うそついたら駄目よ。約束して」

 ドゥアンはそう言って右手の小指をボクのほうに突き出してきた。ボクはそれにボクの小指を絡ませて何回も上下に振った。

「明日私空港まで送っていってもいい?」

「来たら駄目。涙が出たら困るから。それに君の方が心配だから」

「そう?でも行きたいなあ。行ったら駄目?」

「来なくていい。その方がいい」

 ボクは頑なにそれを拒否した。本当に来てほしくなかったのだ。

 だからその言葉はボクの本当の気持ちだった。その迫力に負けたのか、ドゥアンは少し悲しそうな表情をしながらも渋々納得した風だった。

 昨日と同じ十時くらいまでボクらはそこにいて部屋に帰った。

 部屋のドアを閉めるなり、ボクは内から出てくる強い感情を抑え切れず、ドゥアンを立ったまま強く抱きしめた。

 ドゥアンはそんな突然のボクの様子に少し驚いた様子だったが、ボクと同じほどの激しさでその抱擁に答えてくれた。

 ボクらはむさぼるような激しいディープキスをして、そのままベッドになだれ込むように倒れた。

 シャワーも浴びないままボクはドゥアンの服を脱がせ、体中のありとあらゆる所を手と舌でいとおしむように愛撫した。まるで手と舌にドゥアンの体を染み込ませるかのように・・・。

 そんなボクの愛撫に対してドゥアンも激しく答えて反応した。

 ボクらは一心同体なのだ、ということをこれでもか、これでもか、というほど確認しあった後で、ボクは次にゆっくりと静かに手のひらと指でドゥアンの全身を再確認するように撫ぜた。

 頬から首、肩、わきの下、腕、胸から臍の周りにかけての柔らかな起伏、腰から下腹部にかけての曲線、太ももから足首、そして背中からお尻にかけてのなだらかにカーブする起伏。

 全てがボクには愛おしく失い難いものだった。

 こいつを失いたくない、失いたくないとボクは何度も心の中で叫んだ。

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2008年3月23日 (日)

「月の女」-19

【第十八章 島巡り】

 シャワーを済ませた後、ボクらは朝食をとりに又浜辺のほうに出ていった。

 しかし今度は屋外ではなく、浜辺の手前のオープンではあるが屋根付のテラスという感じのレストランに行き、海に一番近いテーブルについた。

 ファランの客が何組か先に食事をとっていた。

 注文を聞きにきた店員からメニューを受け取り、その中からボクはコーヒーとトーストとスクランブルエッグとサラミソーセージのセットを注文した。

 そしてドゥアンはボクと同じだが、コーヒーをオレンジジュースに代えたものを注文した。

 ボクは食事が運ばれてくるまでの間タバコを吸いながら、二時間ほど前に散歩したあたりを何気なくなく眺めていた。

 何か胸がキュッと痛むのを感じた。ドゥアンはそんなボクの心の中はわからない様子で、テーブルの上に頬杖をついて静かに真ん前の海を眺めていた。

 朝食の後ボクらは又浜辺を少し散歩した。昨日とは逆の、今朝早くボクが一人で歩いたコースだ。

 もうすでに海に入っている人も何人かいる。ビーチパラソルの下で日光浴を楽しんでいる人達も結構いる。

 それは早朝の風景とはかなり違っていて、何故かドゥアンに対しての罪の意識が薄まった感じで少し安心した。

 散歩を終えた後又部屋に戻り、暫くベッドに横たわりテレビで洋画を見た。

 十一時過ぎにボクらは又浜辺に出て、島巡りの船を待った。

 暫くしてその船に乗るための筏のようなものが用意され、ボクらを含めて十人くらいの客がそれに乗り込み、少し沖に留めてある高速艇に運ばれた。

 客はファランのカップルが二組と、日本人ファミリー(といっても子供三人は皆成人していたが)が五人とボクらの十一人だった。

 もう一隻ファランばかりを乗せた高速艇も一緒だった。

 ファランばかりをのせた高速艇が先に発進していき、その後にボクらの船が続いた。

 ボクとドゥアンは客室の一番前に並んですわり、船の進んでいく方向を眺めていた。

 船は白い水しぶきをあげて真っ青な海の上を滑るように猛スピードで進んでいく。

 島は大した大きさではないのでたちまち島の南端の岬が近づいてきた。

 その手前で船は速度を落としやがてエンジンを止めた。先に出発していたもう一隻の船もすでに近くでエンジンを止めて海の上に浮かんでいる。

 タイ人の運転手(船長?)が用意してくれたゴーグルとライフジャケットを身に着けて、皆は船の後方から海の中に入っていった。

 ボクはドゥアンに一緒に海に入ろうと誘ったが、ドゥアンは昨日と同じでどうしても入らないというので仕方なくボクだけが入った。

 水は浜辺よりは少し冷たかったが、熱帯のきつい日差しの中では気持ちが良かった。

 ボクはゴーグルで海の中を覗いたり泳いだりしながら暫く海の上に浮かんでいた。

 ドゥアンはそんなボクを船の上から楽しそうに眺めたり、写真をとったりしていた。

 十五分くらいして皆船に戻り始めたので、ボクも仕方なくそれに従った。

 皆が船に戻ったところで、船は又出発した。舟は南の岬を回って西側に出て、今度は北に方向を変えた。

 ボクらが泊まっている東側の海岸と違い、西側の海岸は低い山が海にせまっていて浜辺はなかった。山のところどころに別荘風の建物が樹木の中に見え隠れしていた。

 かなり北のほうに行ったところで船はもう一度とまり、さっきと同じことをさせてくれた。

 その後船は北の岬を回り、今度は東に旋回した。

 暫く行ったところで今度は海岸から少しはなれて海の中に浮かんでいる魚の養殖場のようなところで船は止まった。ボクらはそこで又船を降りた。

 海亀の養殖場だった。今度はドゥアンも一緒だ。

 三十メートル四方くらいを九つのブロックに区切った中に、様々な大きさの亀が養殖されており、ボクらはそれをゆっくり眺めて歩いた。

 近くにいるタイ人から五十バーツの小さな魚の餌を買いそれを亀に与えたりしながら。

 船はその後少し南に方向を変えて少し行ったところにある、水上レストランにボクらを連れて行った。

 そこは海岸から百メートルくらい離れた海の中に建っている木だけで作られたタイ風のオープンな建物だった。

 天板がガラスのテーブルで、その下の床がくり貫いてあるので、テーブルの上からでも下にある海面が見える仕組みになっていた。

 海の中を小さな魚が泳いでいるのを見ながら、ボクらはそこで少し遅い昼食をとった。勿論シーフフードだ。

 出発して二時間位で予定通りもとのビーチに帰ってきた。二人とも少し疲れたので一度バンガローに帰り昼寝をとることにした。

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2008年3月22日 (土)

「月の女」-18

【十七章 奇妙な浜辺の風景】

 翌朝六時過ぎに目を覚ましたボクは、まだ眠っているドゥアンを無理やり起こして散歩に行こうと誘った。

 カーテン越しに窓の方を見ると、ちょうど夜が明けかけていたので、今ならちょうど朝日が昇るのを見る事が出来るかもしれないと思ったのだ。

 折角ここまできたのだから、朝日が登るのを見てみたいと思ったからだ。この海岸は東向きなので丁度いいとボクは思った。

 しかしドゥアンはまだ眠そうで起きたくない様子だったので、仕方なくボクは一人で出かけることにした。

 勿論部屋を出て行く時ドアの鍵をしっかり閉めることは忘れなかった。

 部屋の外は思っていた通り陽はまだ出ていなかったが、日の出前の白々とした状態だった。

 部屋を出てから浜辺の方に向かって歩き、そこから昨日とは逆に左の方角に歩いてみようとボクは思った。

 ボクは浜辺とそれに続く朝の静かな海の景色を見ながら、二、三分ゆっくりと歩いた。

 浜辺にはほとんど人の姿はなかった。一組だけ中年のファランのカップルがボクの五十メートルほど先を歩いているだけだった。

 そんな中でボクの頭はさっきからある奇妙な想念に捕らえられていた。

 それは何故かわからないが、今目の前にある景色を以前どこかで見たことがあると思える、いわゆる既視感と呼ばれる現象だった。

 何処で見たのだろう? 

 ボクがこの島に来たのは勿論昨日が初めてだし、昨日はこちらとは逆の方向に行ったのだから、この風景はボクにとっては勿論、今日初めてみる風景であることは百パーセント間違いないはずだ。

 なのにボクはつい最近、これと全く同じ風景を何処かで見た記憶があるような気がする・・・。

 そんなはずはないと思うのだが、どうしてもその想念が付きまとって離れようとしない。

 どうしてだろう?・・・。

 そんなことを考えながらぼんやり歩いていると、ちょうど東の空から太陽が昇り始めた。

 その瞬間、それまではしらじんで平面的だった周りの風景が、太陽の光により急に陰影を持ち始め、それぞれがその存在を強く主張しはじめた。

 砂浜も海も樹木も建物もボクを取り囲む全てが・・・。

 その時 〈アッ!〉 とボクは叫んだ。突然思い出したのだ。

 この風景はまさしく弘美が米倉部長に犯されていた、あの夢に出てきた浜辺の風景だと。

 ボクは愕然となり、その場にそのまま立ち尽くした。

〈エーッ、何故だ!。何故それまで一回もみたこともないこの風景が、何日も前の夢の中に出てきたのだ!〉

 ボクは少し気味が悪くなり、もう一度周りの景色を見渡してみた。

 白い砂浜とその先に続く青い海。砂浜はずっと先に行くと右のほうにせり出して岬になっている。

 その岬にはたくさんの樹木と岩場がある。それはどう見てもあの夢に出てきた風景と全く同じなのだ。

〈これは弘美のボクに対する復讐かもしれない〉 とボクはまず思った。

 もともとは弘美の浮気が原因でボクらは別れたのだが、ボクだけがその後ものうのうと暮らしてきて、おまけにこんなにも幸せでいることに対する、弘美の激しい嫉妬が生んだ現象かもしれない。

 ボクはそう思った。

 しかし弘美はそんなに嫉妬深い女ではなかったはずだが・・・。

 ボクはとりあえずなんとか気を取り直してバンガローのほうに歩き始めた。

 バンガローの前まで来ると、昨日部屋まで案内してくれた愛想のいい男が庭の掃除をしていて、ボクの姿を見つけると両手でワイをして笑顔で 

「サワディ・カップ」 と挨拶をしてくれた。

 ボクも何とか笑顔を作りおじぎをして挨拶をかえした。

 部屋に戻っても、ドゥアンはまだベッドの中で眠っていた。ボクはそっとその横にもぐりこみドゥアンの横でもう一度眠ろうとした。

 しかしさっきの奇妙な体験が頭に残って眠れない。

〈何故だろう?。なぜ夢の中にあんな風景が出てきたのだろう?〉 ボクは又そんなことを考え始めた。

 そして一応出した結論は、浜辺の風景なんて何処も似たり寄ったりで、たまたまよく似ていただけなんだということだった。

 しかしそれにしてもあんなにも細部まで似た景色なんてあるものだろうか、という疑問までは打ち消すことは出来なかった。

 それからあの後、弘美は一体何処に行ってしまったのか、そして今何をしているのだろうと考えずにはいられなかった。

 ボクはドゥアンの寝ているすぐ横でそんなことを考え、弘美に対してある種の愛おしさを感じていた。

 そして弘美は私を探さないで、と言ってはいたが、日本に帰ったらやはり弘美を探してみようと思った。

 そんなボクに何かを感じたのか、横で眠っているはずのドゥアンが突然寝返りを打ち、突然両腕をボクの首に巻きつけてきた。

 ボクはそれに答えて、裸のドゥアンのよく引き締まった腰を強く抱きしめた。そしていつものように、いやいつもよりすこし激しくボクらは愛し合った。(つづき)

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2008年3月21日 (金)

「月の女」-17

【第十六章 サメットへ】

 サメット島に行く船が出ているラヨーンの船着場には、バンコクから約二時間あまりで着いた。思っていたよりも早かった。午後一時を少し過ぎたころだった。

 二日後の朝十時に迎えに来てくれるようタクシーの運転手にお願いした後、ボクらはそのタクシーを降りた。

 運転手に教えてもらった船の切符売り場のようなところに行って、ドゥアンが赤い花柄のワンピースを着たおばさんと話してみると、船はもう出てしまって、今日はないと言う。

 その代わり千五百バーツ出せば二十分で目的地に着ける高速艇があるがどうか、ときいてきた。

 ボクはあらかじめ読んできた「地球の歩き方」に、そういうことをいう人がいるが、船は毎日一時間に一本あるから、だまされないように注意してくださいと書かれていたのを思い出したが、二十分というのに惹かれてそれを頼むことにした。

 二人だけで貸しきるのだから千五百バーツと言うのもそんなに高くはないと思ったのだ。それよりも早く島に着いてゆっくりしたかった。

 ドゥアンは何故そんな高いお金を払うの、と言うような顔をしたが、あえて反対はしなかった。

 サメット島は南北に細長い島で、われわれが目指すのは真ん中より少し南にあるウォン・ドゥアン・ビーチと言うところだった。

 高速艇はおばさんが言った通り二十分くらいでそのウォン・ドゥアン・ビーチに着いた。

 船は砂浜の二十メートルほど手前でエンジンを切り、あらかじめ待っていた色の黒い、愛想のいい中年の男が、一人水の中をひざまでつかりながら船までやってきて、ボクらを乗せたまま船を砂浜の近くまで手で引っ張っていった。

 砂浜の五メートルほど手前でボクとドゥアンは靴を脱ぎ裸足になって船を降り、靴を手に持って水の中を砂浜まで歩いた。

 荷物は船を引っ張ってくれた男が持ってくれた。

 水は熱帯の灼熱の太陽の光をおもいきり吸収していて生暖かく、砂は真っ白でパウダーのように細かく、裸足の足に優しく絡み付いてきた。

 平日のせいか砂浜には人はそれほど多くはなかったが、寂しいと言うほどでもない。

 ボクらは荷物を持ってくれている男の後をついて砂浜を歩いた。

 砂浜を三十メートルほど歩いたところに、バンガローの受付のようなカウンターがあり、そこでチェックインをして鍵をもらい、又男の後について暫く歩いた。

 熱帯の樹木が生い茂る広いガーデンを五十メートルほど歩いたところに、ボクらが泊まるバンガローがあった。

 表がテラスになっている一軒屋で、玄関が左右対称形に二つあった。そのうちの左側がボクらの部屋だった。同じような建物がガーデンの両サイドにいくつか建っている。

 ボクはさっきもらった鍵で入り口のドアを開け、部屋の中に入っていった。その後にドゥアンと荷物を持った男も入ってきた。

 部屋はボクのアパートと同じくらいの広さだったが、真四角なのでちょっと雰囲気は違っていた。

 部屋の真ん中に大きなダブルベッドがデンとすえつけられており、奥にはシャワールームとトイレがあった。内装の趣味も悪くはない。

 荷物を持ってきてくれた愛想のいい男が、その荷物を部屋に置いた後、ドゥアンにチケットのようなものを見せて何か説明をし始めた。

 横で聞いていると、明日昼頃高速艇で島めぐりが出来、二時間で八百バーツだがどうか、と誘っているみたいだった。

 ドゥアンはボクにどうすると言う表情で聞いてきたのでオーケーだと答え、八百バーツをその男に渡した。

 男はそれと引き換えにチケットをドゥアンに渡し、それではごゆっくりと言うようなことを言って部屋を出て行った。

 ボクらはとりあえず着替えを済ませた後砂浜に出て行き、そこに出ている何軒かの店のうちの一軒を選んで、木陰の下のテーブルに座り遅い昼食をとることにした。

 ドゥアンは短パンにTシャツと言うスタイルだ。

 テーブルに座って浜辺のほうを見渡すと、歳をとってお腹の出たファランのカップルが多かった。

 中にはいかにもタニヤのクラブから連れてきたと思えるような、若いタイ人の女性と日本人らしき中年のおっさんのカップルもいる。

 後はタイ人の金持ちのファミリーらしき人たちも何組か見受けられる。

 注文を聞きにきた上半身裸の若い男にボクはビールとスパゲティを、ドゥアンは鶏肉をいためた料理とコーラを注文した。

 それにしてもタイに来て始めてバンコク以外の土地に来たわけだが、同じタイとは思えないほどのんびりした気分になれる。

 ボクは改めてここに来てよかったと思った。ドゥアンもすっかりくつろいでいる。

 ゆっくり時間をかけて食事を済ませた後、ボクはTシャツを脱ぎ水着だけになって海の中に入り少し泳いだ。

 ドゥアンも誘ってみたが笑顔で首を横に振りいやだと断った。どうもタイ人は海で泳ぐと言うのは苦手なようだ。他のタイ人も泳いでいる人はいない。

 ドゥアンはテーブルに残りボクが泳ぐのを嬉しそうに見ているだけだった。

 少し疲れるとボクもドゥアンのいるテーブルに戻り又ビールを飲んだ。

 そんなことを二、三回繰り返した後、ボクはドゥアンに浜辺を散歩しないかと誘った。今度はあっさりと同意した。

 ボクらは客達が浜辺で寝そべっている波打ち際を、白い砂の感触を足の裏で感じながら手をつないでゆっくり歩いた。

 時々波が押し寄せてきて、ボクらの足を洗った。太陽は少し西に傾き、日差しは幾分弱まった感じになってきた。

 二十分ほど歩くと岩場があった。そこで真っ黒に日焼けしたタイ人の中年の男が二人釣りをしていた。

 ボクらはそこを通り越して更に進んだところの岩場に腰を下ろし、暫く海を眺めていた。

 周りには誰もいない。ちょうどボクらが船を降りたあたりに一隻の船がやってきて、十数人の客が乗り込もうとしているのが見える。帰りの客なのだろう。

 ボクは岩場で立ち上がり、持ってきたアナログカメラでドゥアンの写真を何枚か撮った。

 ドゥアンはファインダーの中でポーズをとる。時間がゆっくり流れているのをボクは全身で感じる。

 ボクらはそこに暫くいた後、来た道を又戻った。

 砂浜の奥のほうにある熱帯の樹木の間に、来るときには気づかなかったバンガローが点在してあるのに気がついた。

 人がいる浜辺まで戻ってきたところで砂浜に敷物を敷いてファランの若いカップルが一組マッサージを受けていた。 

 ボクらがその横を通り過ぎようとすると、小錦を少し小さくしたみたいなおばさんがあなたたちもやらないかと誘ってきた。

 ボクはどうすると言う顔でドゥアンのほうを向くと、彼女はやりたいと顔で返事をした。

「タウライ(いくら)?」 とボクがそのおばさんに聞くと

「ヌンチョモン、シーロイバーツ(一時間四百バーツ)」 とおばさんは答えた。

 ボクは少し高いと思ったが、こんな所だからしょうがないかと思い直しやってもらうことにした。

 二人は砂浜に敷いたビニールシート並んで仰向けに寝てマッサージを受けた。

 ボクはマッサージはそれほどやるほうではないが、バンコクでは、特にスクムビットでは日本人向けのマッサージ屋がいたるところにあるので、それまでに何回かしたことはあるが、屋外でマッサージをしてもらうのは今回が初めてだ。

 結構気持ちのいいものだが、マッサージ自体はお世辞にもうまいとはいえなかった。

 それでも気がつくと何時の間にか寝てしまっていたのだろう。目がさめたらあたりはもうすっかり暗くなりかけていた。

 マッサージを終えるとボクらはとりあえずバンガローに帰り、シャワーを浴び、服を着替えてから暫くテレビなどを見て時間をつぶした後、今度は夕食をとるために又浜辺に出て行った。

 ドゥアンは今度は黄色い花柄のアロハシャツに薄いブルーのパンツだった。

 ボクらは水際に近いシーフードのある一軒の店を選んで、海を眺められる側に並んで座った。

 そしてエビやらムール貝などのシーフードを肴にビールを飲んだ。

 ドゥアンもバカルディを飲んだ。月の光で海が黒く照らし出され、波の音がすぐ近くで聞こえた。

 空には星が信じられないほどたくさんあった。

 そしてそれらの星達の真ん中に、まん丸な月(ドゥアン)が驚くほどの存在感でくっきりと浮かんでいた。

 それはボクらをなんともロマンチックな気分にさせてくれた。ボクはその時、日本に帰ってからも月を見るたびにドゥアンのことを思い出すに違いないと思った。

 気持ちよく酔ってきたところで、ボクらはこの気持ちよさを二人だけでは持ちきれないような気分になり、河島に携帯で電話をしてみようということになった。

「もしもし、河島、俺だよ」

「おお、お前か。どうだ、サメットは?」

 ボクはここに来る前に一応河島にだけは行き先を教えていたので、河島はその事を知っていた。

「すごくいいよ、お前も一緒にくればよかったな。最高だ。波の音聞こえるか?」

 ボクはそう言って携帯を海のほうに向けて、河島にその音を聞かせてやった。

「聞こえる、聞こえる。畜生、羨ましいな。ドゥアンも一緒だろ?」

「勿論だよ、ちょっと話してみるか?」

 ボクはドゥアンに携帯を渡した。ドゥアンはそれをニコニコしながら受け取った。

「ハロー、シンジ。サワディ・カー」

 といった後タイ語で喋り始めた。ドゥアンはひとしきり喋った後で又ボクに携帯を渡した。

「ところでお前は今何してるの?」

「お前がいないから望月と二人で居酒屋でメシ食ってるよ。ああそうそう。明後日六時からお前の送別会を兼ねた忘年会をやることに決まったからから、五時半くらいまでに会社に戻ってきてくれ。大丈夫だろ?」

「ああわかった、大丈夫だ。ありがとう。じゃあな」

 ボクはそう言って電話を切った。

 十時くらいまでボクらはそこでゆっくり食事をして、その後ちょっと砂浜を散歩した後バンガローに帰った。(つづく)

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2008年7月
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