「YUKINO」-5
Ⅴ
斎木は今日、加古川に住んでいる大学時代の旧友と久し振りに神戸で会う約束をした。
旧友の名は篠田という。今日篠田はたまたま神戸に仕事で出てきていたのだ。
夕方その篠田から電話が入り、久し振りに飲まないかと誘われたので、斎木は神戸まで出向いて行くことにした。
たまたま仕事が暇な時だったので、斎木はその誘いに乗り六時過ぎに仕事を終え、梅田に行き阪急電車に乗った。
あの時とは違い大阪から神戸までは特急列車で三十分もかからなかった。
七時に三宮で待ち合わせ、駅の近くの居酒屋でビールと焼酎を飲んですっかりいい気分になったところで、ファッションヘルス好きの篠田の提案でこの店にやってきたというわけだ。
篠田は加古川で小さなバイク・ショップを経営していて、加古川と神戸は比較的近い事もあって神戸のあちこちのヘルスを昔からよく知っていた。
その話を斎木は本人からもよく聞いていた。中でもこの店が彼の一番のお勧めだった。
斎木も何回かこの種の店には行った事があるが、それでも一年に一回も行く事は無かったが、ヘルスに行くのは決して嫌いなほうではないので、酒の酔いも手伝って斎木は篠田の提案を素直に受け入れた。
篠田と一緒にヘルスに行くのは今日が初めてだった。
店に入って斎木と篠田は店員から渡された写真アルバムで女を選んだ。
何人かの女の写真の中で斎木はYUKINOを選んだ。
実際のYUKINOは写真から想像していたよりもかなり華奢だったが、写真以上に魅力的な娘だった。
YUKINOはシャワーが終わると、バスタオルで丁寧に斎木の体を拭いた後、別のバスタオルで斎木の腰を巻いた。
それから斎木の身体を拭いたバスタオルで自分の身体も拭いて、そのバスタオルをそのまま自分の身体にまきつけてから斎木をベッドの方に導いた。
そして斎木をベッドのうえに仰向けに寝かせてから愛撫を始めようとした。
しかし斎木はそれを拒否し、逆にYUKINOを寝かせ斎木の方が君を愛撫したいがいいかと聞いた。
YUKINOは静かに笑って素直にそれを受け入れた。その方面ではそれ程マメでもない斎木が、自分から攻めてみたくなるほどYUKINOの身体は魅力的だったのだ。
YUKINOの身体は斎木がいままで接した女の中で一番色が白かったといえるだろう。それこそ透き通るという表現がぴったり来るほど白かった。
こんなに色の白い女の肌を斎木は今まで見た事も無かった。
YUKINOの身体は手も脚も全てが今にも壊れそうなほど華奢だった。それでも胸とお尻だけはちょうどいいくらいの肉付きをしていた。
斎木は大事なものでも扱うように、優しく丁寧に時間をかけてYUKINOの身体を隅から隅まで愛撫した。
斎木の頭の片隅にはさっきYUKINOから聞いた悲惨な話が少し残っていて、こんな可哀相な娘にこんな事をしてもいいのだろうかと言う思いが微かにではあるがあった。
しかしそんな思いもどこかに吹き飛んで行ってしまうくらいの魅力がYUKINOの身体にはあった。
斎木はYUKINOの身体を愛撫しながら、何度も何度も「綺麗だ」と言う言葉を連発した。
YUKINOは微かに笑みを浮かべて、そんな斎木を赤ん坊にお乳を飲ませている母親のような優しい眼差しで見つめていた。
その眼差しを受けて、斎木は自分の娘のような歳の女にある種の母性を感じた。
斎木のYUKINOへのひと通りの愛撫が終わると、今度はYUKINOの方が上になって斎木を愛撫し始めた。
斎木は大人しくそれに身を任せるようにベッドの上に仰向けで寝た。
YUKINOもまた手と舌をつかって斎木の全身をくまなく愛撫してくれた。
チロチロとYUKINOの柔らかくて生暖かい舌の感触を全身に感じながら、斎木は目をつむったままYUKINOの小さな肩や背中を優しく撫ぜていた。
そして最後に斎木が何も言わないのに、YUKINOは自分から斎木の顔の上に自分の下半身をまたがらせて、いわゆるシックスティ・ナインの態勢になった。
斎木はその時男と女が一緒にいると、何故こんなにもいやらしい事をしてしまうのかとちょっと不思議な感覚に陥った。
人間と言うのは何処まで快楽を追求したら気が済む存在なのだろうという思いが、いやらしい行為をしている最中にちょっと頭の片隅をよぎった。
また一方では、自分の中にある、自分の力ではどうする事も出来ない悪魔の存在を感じていた。
斎木は色が白いため色素の沈着していないピンク色のYUKINOの中心部を眺めながら、女の身体と言うものに抗いがたい強い力で惹かれていく自分自身を、また不思議なことのように思いながらフィニッシュを迎えた。
制限時間の一時間半が近づいても、YUKINOは斎木の腕の中で微かな寝息を立てたままぐっすりと眠っていて、一向に起きる気配が無い。
余程疲れがたまっているのだろうか。
一時の興奮が収まると斎木の心からも悪魔が去り、YUKINOへの優しい思いやりの気持ちが戻ってきたようだ。
斎木は一層の事追加料金を払ってでもこのままずっとYUKINOを寝かせてあげようかとも思ったが、篠田が待っているので仕方なくYUKINOの肩をゆすって起こした。
「あらごめんなさい。私すっかり寝てしまっていました」
YUKINOは眼を覚ますとすぐそう言って斎木に謝った。
「全然問題ないよ」
斎木はそう言ってYUKINOを慰めた。
YUKINOはもう一度シャワーの所に斎木を連れて行き、今度は簡単に斎木の身体を洗った。
それからついでのように急いで自分の身体も洗い、その後バスタオルで丁寧に斎木の身体を拭いた。
斎木はその間ずっとYUKINOの表情を愛しい思いで見つめ続けていた。(つづく)


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